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驚いて反射的に相手を見るとそこには見知らぬ男性が立っていた。
そのはずだけど・・なぜかしら・・なんだかとても懐かしい気がするわ・・
眼鏡をかけた痩身の男性で髪は紫がかっており、緋色の瞳がこちらを見下ろしていた。
「君!もしかしてその恰好踊り子なのかい?」
妙に切羽詰まった風で意気込む彼になんて答えようかしら。
「ええ・・ベリーダンスを少し・・・」
本当は世界大会で優勝経験もあるけどね。問う相手の思惑がわからないうちは様子を見たほうがいいかもしれない。
それに両親の勧めで社交ダンスやバレエも習っていた。
すると案の定男性は顔を輝かせたと思うと、私の両肩をがしりと掴んでまくしたてた。
「ああ神よ!!君!この僕を助けると思って今夜の舞台に立ってくれないか?謝礼は弾むからさ!!」
ええ?
いきなりスカウトされてしまったがここがどこかわからないけど芸能事務所のマネージャーといった雰囲気の男性の剣幕に押されてしまう。
随分困っているようだけど・・踊るのは好きだし天職だと自負もあるけど・・
それでもダンサーではなく私は宝飾デザイナーの道を選んだ。
いつかシャナーサ国で採れたという幻の鉱石テロメアーナでアクセサリーをデザインするのが私の密かな夢だったから。
大切な方とのペアリングも作ってみたい・・
なぜだろうか・・それが唯一私と彼を結ぶ手がかりだったからかもしれない。