このバザールの地図とめぼしい店を確認したほうがよさそうね。

手持ちのお金は限られているし女の一人旅では悪い連中に目をつけられかねない。あまりにも羽振りが良いと言いがかりをつけられてグルになった連中のカモにされてしまう可能性だってある。

 

半日近く街を散策してみたけど・・この街は首都だけあってとても活気があったけど一つ路地を間違えただけで怪しい裏通りに繋がっているようだった。

 

聞こえてくるのは様々な声。

ライザール王は公平さを持ち統治する良き王らしい。私腹を肥やす貴族を厳しく取り締まる手腕が高く評価されていた。

 

そしてもう一人人気を二分しているのが「ライラ・ヌール」と呼ばれる義賊だった。

 

悪しきを罰し奪った金を貧しい人々に分け与えたり、悪をくじくまさに正義の味方だった。

 

街はその二人の噂話でもちきりだった。神出鬼没の義賊を見た者はなかったが偉業をたたえるものが後をたたなかった。

 

けれど権力者であるライザール王の方は敵が多い分、悪い噂もまたひそかに囁かれていた。

 

いくつかの店を立ち寄ってみたけど、私を見た途端忠告をしてくれる人が後を絶たなかったのだ。

 

「お嬢さん・・一人かい?あんたのようなお嬢さんが共も連れないで心配だよ。それはそうと聞いたかい?王が娘を探してるんだってさ・・どうするつもりなのかねえ・・あんたも気を付けた方がいい。「シリーン」と名の付く娘はこぞって王宮に召集されていると聞くよ。どうするつもりなのかねえ・・」

 

――え?

 

なんだかざわざわしてしまう。この国の王が「シリーン」と名の付く娘を探している?

 

それはなぜ?

 

私も人探しをしている最中だったからもしやと思ってしまう。

だけどおばさんの話は曖昧で伝聞らしく不確かなものだった。

 

この国の庶民がどの程度読み書きできるかはわからないけれど、正式なお触れなのであればもっと正確な情報が出回っているはずだったが、人を憚るような噂のレベルなのであれば用心した方がいいかもしれない。