※ライザール視点です
カルルル・・
やがてカルゥーが血の臭気を漂わせて戻って来た。始末は完璧だ。骨の欠片すら禍根は残さない・・そうでなくてはな。
人だった頃は躊躇や葛藤があったはずだが魔神になったことで人の性が損なわれてしまったためか今の私は人のまねをしているに過ぎない闇に属する存在だ。
だが幸い私に王位を託した主は善良で温厚な男で、主に逆らえない私に残酷な命令をしたことは一度もない。むしろ信頼してすべて私の裁量に任せてくれていた。
善意には善意を悪意には悪意を報いにはそれ相応の因果が必要だ。
ライザ・・それが真王の名だが、主も忘れ得ない者がいた。
だが一度失ってしまえば取り戻すことは至難の業だった。
大切な相手を喪失してしまった痛みを私達は抱えていた。
心を置き去りにしたままでも時は無情に進む。
いかに不老不死の魔神とはいえ年相応の姿を維持せねばならなかったが私の本質が魔性である以上なにも変化は訪れない。
いつか主の寿命がつきるまで仕えるまでだった。
相棒だったカルゥーはとうに失われてしまった、だから私に寄り添う「コレ」は私の悲しみが生み出した影に過ぎない。
つまり私の一部だ・・・
そんな何も持たない私だが、今夜は孤独ではなかった。
ほんの僅かな温もりを分け与えてくれる無垢でお人好しな娘がいるからだろう。
甘くいい香りのする娘だ。できれば欲しかったがやはり一時の欲望で穢すことは躊躇われた。