※ライザール視点です
そんな追憶にふけっていた私だが不穏な気配を同時に察していた。
おそらく闇夜に光る焚火を見た悪しき者達が襲撃しようと虎視眈々と狙っていたのだろう・・
まったく忌まわしい連中だった。
だが生憎と私はこの娘の警護で忙しい・・
カルゥー・・・いるか?
心の中で命じると闇に潜んでいた獣が影から這い出してきて黒豹のような影が浮かび上がった。
かつて私の相棒だった黒豹を模した影の使い魔、マウトグイーダだった。
奴らを蹴散らせ‥一人も生かして帰すな・・
命じると音もなく影は去り、遠くから断末魔の声が聞こえたが、このオアシスは私の力で守られているから眠る彼女には聞こえないだろう。
オアシスだけではないシャナーサもこの砂漠もその外に広がる国々もすべて千里眼を持つ私に見通せない場所はなく庭のようなものだった。
とはいえ私も万能ではないから全てが見渡せるわけではない・・
異なる時空はやはり難しい・・捜索が難攻してしまったのもそのせいだ。