私ははなからリネットさんの顔をたてるための付き合いだけだったけど、先週のデートを見ていた者がいるらしくすでに一部報道がなされて困惑していた。

 

それにラウルさんほどでないにしろ私だってそこそこ有名人だった。

 

こう見えても財閥の令嬢ですもの。

 

ラウルさんはSPこそついていたけど全然隠す気なかったしスターのオーラ全開だったからしかたないわ。

 

とはいえラウルさんには逆に迷惑だったのでは?と尋ねたがラウルさんはきょとんとした顔であっさりと言った。

 

「ああそれなら大丈夫、あの後何人かの娘とデートしたし君のこともみんなもすぐに忘れると思うよ。それに俺達は「神話友の会」の絆はあっても清い関係だろう?それとも俺と一晩楽しみたい?

美人の君なら大歓迎だよ」

 

ああ・・そうですか。なんというかここまでくるとあっぱれとしか言いようがない。

 

だからもちろん丁重にお断りした。

 

お生憎様。私の貞操はそう安くないのよ。大切な初恋の相手のために大事にとってるんだから。本気になれない貴方じゃ役不足だわ。

 

だけどそんなことはおくびにも出さない。気のない相手をあしらうのは慣れていたから。せいぜい気を持たせておけばいいわ。

 

「よかった・・君とはH抜きで友達でいたい。それに・・なんというかどれだけ口説いても君の心は手に入らない。そんな気がするんだ。俺は恋愛向きの男じゃないけどこう見えても女の子を見る目はあるからさ。違うかな?」

 

思わずどきりとしたけど、別に彼に話す必要はないわね。

 

「はあ・・君と言いあのアドバイザーさんといいお堅い娘ばかりだなあ。この間口説いてみたけど速攻振られちゃったよ。・・なんてね」

 

呆れた。リネットさんのことも口説いてたなんて。それにいくら私が傷つかないからってわざわざ報告するなんて・・