私寝落ちって多いんですよだからラスト見損ねることが多くて・・
だから念のために録画して確実に見れるようにはするんですけどね・・
今回は寝過ごしたわりには面白かった映画をご紹介(ケーブルで見たホラー作品です)
ホール・インザ・グラウンド(地面の穴)まんまや~んって感じのタイトル
番組表によるとサンダンス映画祭で注目を集めた新感覚ミステリアス・ホラーらしい・・でもこの解説見ない方が楽しめたかも・・・
なんといっても醍醐味はホラーなのかサスペンスなのか最後の方までわからないこと。
登場人物もわずか(その他の皆さんも登場しますが、メーンは若いシングルマザーと幼い息子とその隣人の老夫婦)
DV旦那から逃げ森が広がる田舎に越してきた母息子が巻き込まれる怪異です。シナリオも普通だしオチも普通なんだけど、構成が上手いんだと思います。
とくにラストの展開はある意味想定内なんだけどそれでもちょっと驚いてしまいますよ。
あらすじは・・母子が住む家の近くには広大な森林があり、ある日息子とささいなことで喧嘩した母親が森へ息子を探しに出たところ、大きな陥没穴を発見します。見るからに危険な場所で、母親は息子の姿が見えないため探します。
息子は無事でしたが、この場所には入らないように約束を交わす母子。
家を自力でリフォームしながら新生活を始めたのも束の間、徐々に息子の態度に違和感を覚える母親。
ここまでの注目ポイントですが・・
まずありがちなのが親子で車に乗り子供にかまけてわき見運転をしてあやうく事故を起こしかける・・この展開見てて毎度イラっときます。
さらに母親の服装が(職場でも、子供の発表会を見に行くときも、普段もすべてサロペット姿。・・服、持ってないというより、見た目で観客が彼女がこんな感じの人だと量るためだけの衣装だと思われます。人ってまず初対面の相手なら服装を見て判断するでしょう?)
さらに子供に与える食事にもある種の偏見が・・
朝食は牛乳掛けのシリアルだけ、夕食は毎回パスタだけ・・それも観客に彼女がシングルマザーとして問題を抱えた人物だと伝えるための演出なんでしょう。
そして安定剤を服用中・・幼い子を抱えた苦労がにじみ出ています。
観客は客観的に彼女を評価する人と、彼女に共感して同じ目線で物語を読み解く人とにわかれるんじゃないでしょうか。
しかも映画は始終母親である彼女の眼を通した印象だけで語られているので、息子に異常を感じると言われてもそれが彼女の勘違い(気のせい)なのか本当に息子になにかあったのか・・彼女に共感したら疑心暗鬼になるし、やはり彼女がおかしいのでは?と思いたくなる瞬間もある。その緊張感が延々続きます。
はたしてサスペンスなのかホラーなのか・・観客はどちらの展開にも備えなくてはなりません。
どちらにせよ良い予感はしません。
そして彼女の不安を煽るのが、周囲の無理解(シングルマザーだから・・と理解は示しつつも、息子がおかしいという彼女の言葉には耳を貸さず、処方薬の服用を勧められるだけ)
彼違和感を拭えない彼女の孤独な戦いは続き、なんとか解決したいと奮起します。
慣れない土地で孤独を深める彼女でしたが、実は冒頭で車で事故をおこしかけるのですが、道路に佇む人物と危うく接触しそうになったのです。
その人物は隣家に住む老婦人でしたがどこか様子がおかしく、彼女は恐怖を感じます。
ところがこの老婦人から「貴方の息子は本当の息子じゃない」と不安を的中されますます彼女の息子への疑惑は加速してしまいます。
老婦人も同じ地域の住人ですし、彼女の言葉通り本当に息子が偽物だったのか彼女の気のせいなのかはわかりませんが、後の展開を考えるにおそらくこのシングルマザーと同じめにあっていたのだと思います。
いったい何が真実なのか観客も母親とともに悩むことになる映画だと思います。
その老婦人が変死してしまい第一発見者は彼女でした。
通夜に参列した彼女でしたが、老夫妻の自宅は異様な光景でした。
部屋中のいたるところに鏡があり、その全てにカバーをかけてある。
鏡を設置したのは老婦人で、亡くなった息子さんが自分の息子ではないと疑うあまり真実を見抜ける鏡を設置していたらしい。そして夫である老人の方はそんな妻を責めもせずに好きにさせていましたが妻が亡くなったので鏡にカバーをしたようです。妻を愛していたものの最期までわかりあうことはできないままついに彼女を失い残された老人は何を思うのか。
妻と息子を失いながら全て終わったと思った矢先、新居に越してきたシングルマザーが妻と同じ妄言を言い出し、もうたくさんだと立腹する老人でしたが、彼も違和感を覚えながらも真実から目を背けたようです。
ここまで見てきた観客はむしろこの老人に同情すると思います。
母親にしかわからない僅かな違和感(「少年は残酷な弓を射る」みたいですよね~)そこに父親の目線はありません。完全に蚊帳の外です。
母親の気のせいなのか、やっぱり息子が異常なのか・・もやもやしたまま話は続きますが・・
息子を疑っていることを息子に悟られることを恐れる母親と、
母親の疑いが自分に向いてることを敏感に察して探りをいれる息子の緊迫のやりとりが本当に胃が痛い・・・
そしてついに本性を見せた息子に襲われる母・・
やっぱり息子になんらかの異常が起きていたのはもはや間違いないようです。
息子に埋められる母、隣家の老婦人を襲ったのも恐らく同じような状況だったのでしょう・・子供とは思えないような手際の良さです。
だけど母親が一枚上手で息子をなんとか眠らせることに成功した母親。
この後彼女は驚くべき行動にでます。
ちょっと信じられない!私なら絶対無理です。このシーンが一番衝撃でした。
数十から数百メートル?巨大な陥没穴(アリ地獄みたいな感じ)の周囲は切り立った崖ですよ?そこを懐中電灯だけを手に駆け下り、そして中心の穴にずぼっと沈む・・沈む・・嘘でしょ!?いや~~~!!
行き当たりばったりにもほどがあるけど、息子が偽物であると確信をもった彼女は本物の息子を探し求めて、穴の中に単身乗り込むことに・・
そしてこの先は完全な「ディセント」展開なホラー全開!!
レプリティアンというよりむしろシェイプシフターかも・・
地下には僅かですが空洞があり、横穴が続いてます。狭い穴をほふく前進する母親は人骨を多数発見してなんらかの生物の住処だと察します。
息子は無事なのか!?必死に探す母親はついに息子を発見して抱きしめます。息子は存命してましたが、意識がありません。
だけど同時に地底人と思しき異形に囲まれていると知り、息子を連れ逃げますが、一匹に足を掴まれてしまいます。
その瞬間、異形は瞬く間に彼女と同じ姿に・・自分に成りすますことを阻止するために異形をぼっこぼこに倒して地底から脱出した母・・母強しですよ。
家に戻り家ともども偽物の子供と思しきものを処分して愛する我が子を連れその土地を後にします・・
海外作品の典型的パターンでとりあえず大学に戻り服装も変え心機一転がんばる彼女でしたが・・
窓から庭で遊ぶ子供を望遠レンズで覗き込む彼女の姿から徐々にカメラがひき室内の様子が明らかに・・
部屋中鏡だらけでカメラを手に子供を監視する母・・
やはり疑念は最後まで拭いきれない・・
母親の心の闇に震えるか、賢明な母をたたえるかは見た人にゆだねられる・・
映画のオチはチェンジリング(妖精の取りかえ子)ものでしたが、
果たして子供は取り戻せたのか・・
そもそもこの母親自体本物なのか・・?
そんなモヤッと感が消えない映画でした。