婚儀をあげた私はついライザール様と初夜を迎えることになった。

いよいよだと思うと期待よりも緊張の方が大きい。

 

これまで密偵としてターゲットを誘惑したこともあったけど、本気の恋は初めてだから戸惑ってしまう。

 

出会った当初は相思相愛になれるなんて思ってもみなかった。

 

やっと巡り合えた同族の女を娶りたいと望むライザール様と私は「偽りの婚約者」として出会い、そして恋に落ちた。

 

魅惑的な男性たちとの恋の駆け引き次第では業を煮やしたライザール様の略奪愛も起こり得たけど、私の一途な想いが結実することになったのはやはり嬉しかった。

 

とはいえライザール様のことを知るには私は若すぎたし経験値が不足していたから不安だってあった。たとえ縁結びの神様の応援があってもね。

 

だけどそんな未熟な私をライザール様は受け止めてくれた。

王だけあって頼もしさと懐の広さと、導いてくれる思慮深さが彼にはあった。

 

それに男性としてもやっぱり魅力的な方だったから・・

私の中に潜む獣が本能でライザール様を求めてしまう。

 

だから待ち遠しさも募っていた。

 

侍女の手を借りて宝石をあしらった花嫁衣裳を脱ぎ、湯あみをして夜着に着替えた後、通されたライザール様の私室で一人彼を待つ。

 

ライザール様のお部屋は初めてではないけど、室内に彼の姿はなかった。