ああ・・貴方の匂いだわ・・

 

見つめ合ってキスをすると抱き寄せられて、横抱きに抱きあげられていた。

 

そのまま寝台へとなだれ込んだ私達は互いの服を脱がせ合いながら抱き合った。

 

これはいつもとは違って仕事じゃないから血を採る必要もないし、気兼ねだっていらない完全なプライベートだった。

 

だからかより求められたことが嬉しくて幾度なくキスをかわした。

じっくりと愛撫をほどこされただけで身体が火照ってしまう。

 

彼と会えば必ず関係をもったわけじゃないけど、店主様のために血を欲していた私の事情をライザール様が汲んでくれていたことで成り立つ関係だった。

 

当初こそ回廊の柱の影や王宮のそこかしこで即物的に関係を持っていたこともあった。

 

だけどライザール様は私との触れ合いの時間を所望してくださるようになって、お話ししたりお食事したりお散歩したりして穏やかに過ごす時間も設けてくださった。

 

それからは貸し切り状態の大浴場や彼の寝台で抱かれるようになった。

 

まるで本物の恋人のように・・淑女として大切に扱ってくださるようになったの。

 

それが心地よくて幸せだったから己の立ち位置を忘れそうになったけど、でも密偵で踊り子の私が多くを望めるはずもないのはわかっていた。

 

それはおそらくライザール様も同じだったのだろう。

王として世継ぎを望む家臣たちとの攻防に疲れてこうして私をお求めになるのだから。彼にとって私との情事は束の間の現実逃避に最適なのだと思う。

 

私達は似た者同士なのにこんなにも貴方は遠い方・・それでも今貴方の傍にいて束の間の慰めを与えることはできるわ。

 

互いの吐息を封じるように口づけあい、肌をついばみあう私達はまるで二匹の獣のようだった。

 

密着度の高い体勢で交わりながら全身汗だくになりながら愛を交わした。