つまりライザール様が興味あるのは結婚により得られる有力者の後ろ盾であり、花嫁に対する関心は皆無ということだ。

 

婚約者として儀礼的に接してくださるが、「私自身」を見てくださっているわけではない。

 

そのことがなんだか無性に悔しくもあり、ムキになる自分に呆れもした。

 

あくまでも仕事だと割り切れれば楽なのだろう・・けれど私は・・

 

どうすればライザール様を振り向かせることができるのか、なんて詮無きことを想い煩っていると視界の端に気になる人物を発見した。

 

それは・・・

 

密偵仲間のジェミルのようだった。

顔はベールで隠されていたけれどあの後ろ姿、見間違えようもない。

 

彼は私にとってはただの同僚でしかなかったけど、なぜジェミルがこの場所にいるのか気になってしまう。

 

しかもジェミルは使用人の姿をして給仕をしているようだった。

 

おそらく店主様からの依頼で動いているのだろうけど・・・

 

気になるわね・・・どうしよう?

 

気にはなったものの私はライザール様の婚約者としての立場があったから追うことはできなかった。