周囲をさりげなく窺いならライザール様を探していたら、背後から声をかけられた。
「どうした、レイラ殿・・誰か探しているのか?」
――!
気づけばすぐ背後にライザール様が立っておられた。かすかに彼がまとった香水の香がしていたが気配をまったく感じなかったことにゾッとする。
まるで獲物に忍び寄る捕食獣のようだった。
呼吸を整え意を決して振り向くと、射抜くようなライザール様の眼差しと視線が絡む。
とても婚約者を見る目ではないわね・・・
そうは思ってもなんとかやりすごさなければならなかった。
「ライザール様のお姿が見えなかったので探していたのですわ」
無難にそう応えると、ライザール様は訝しむように目を眇められた。
「ほう?私を探していたと?なるほど」
詰問口調でこそなかったけど、探りをいれるような含みを感じた。
もしかするとライザール様は私の様子をずっと伺っていたのかもしれない。
ではやはりジェミルの後を追わずによかったのだろう。
「ええ・・・ねえ、よろしければ少し散歩をいたしませんか?酔い覚ましに夜風にあたりたいですわ」
少しは二人きりになれるかも、と思いながらも誘ってみる。
「・・・・・いいだろう」
するとライザール様は一拍の間の後了承してくださった。