その時、突然夜空が明るくなり轟音が鳴り響いた。
![]()
驚いて見上げると星空を華やかに彩る大輪の花火が次々と打ち上げられていた。
パーティの参加者も市井の者達もいっとき足を止め夜空を見上げて楽しんでいるようだ。あちこちから歓声が聞こえた。
私もしばし悩みを忘れてこのひと時を楽しむ。赤や青や金色の火花を散らせて煌めく花火は壮観だった。
「気に入ったか?王子達の歓迎も兼ねているが、私としては婚約祝いのつもりだからな」
![]()
「そうだったのですね、とても綺麗で感動しました」
お世辞ではなく本心だったけど王も満更でもないご様子だった。
さすが羽振りの良い鉱山王だけはあるわね。なんといっても気前がいい。
わざわざ会議の日程に合わせて婚約披露も兼ねるなんて偽物としては気まずくてしかたないけれど、この花火は確かに素敵だった。
気づいたら彼に肩を抱き寄せられていた。
だから自然な所作で優美さを損ねないように寄り添う。
最後の花火が乱れ打ちされた時のことだった。ライザール様が私の耳もとに囁きかけた。
「来年もこうして共に花火を見れるといいな」
![]()
なんとも意味深な言い方ではあったが、私は素直に頷き返した。
せっかくの感動に水を差したくなかったからだ。
だけど・・たぶんその時は貴方は他の方と、私は一人で見上げているでしょうけど。
どこにいたって花火の美しさは変わらないだろうけど、でも一人で見るより慕う方と見たいという気持ちがこみ上げてしまう。
花火を見上げていたはずなのに気づいたら貴方の横顔ばかり見ていた気がする。
琥珀色の瞳に煌めく花火が反射してとても綺麗だったけど貴方は私の視線には気づかなくて寂しさが募ってしまい、そんな気持ちを紛らわせたくて空に輝く花火を見ていたのだった。