「ありがとうございます、ではいただいておきますね、退屈しのぎにはちょうどいいですもの」

 

それにライザール様が所有していた本だと思えば愛着もわくというものだった。

 

だけど同時に本をくれたことがひっかかっていた。返さなくていい、なんてまるで本を口実に会いに来ることを牽制されたみたいだ。

 

やはり変に遠慮せずに読みたい本を選ぶべきだったかもしれない。その方が会話が弾んだ可能性があったが、「私らしさ」より「レイラ様らしさ」を選んだ挙句失敗してしまった。

 

ここは諦めて退散するしかないだろう、そう思って「ではそろそろ・・」と暇をつげようとしたら途端に手を掴まれた。

 

「なんだ・・もう帰るのか?てっきり私に用があるのかと思ったのだがな」

 

決して強い力で掴まれているわけでもないのに振りほどくことができそうにない。

 

まさか引き留められるなんて思ってもみなかったのに・・

 

「だってお疲れでしょう?・・明日も会議なんですからもうお休みになって」

 

引き留められて嬉しい反面、彼の体が心配だったからの答えだった。

 

「年寄り扱いするな。こう見えてもまだ若いぞ」

 

憮然とした顔のライザール様を見ていたら思わず微笑ましすぎてあわてて口元を覆う。そしたらじろりと睨まれてしまったわ。

 

意外だけど年の差があることを気にされていたようだ。

 

確かに9つさもあればそうかもしれないわね。

 

ここだけの話、同僚のジェミルなんてまだ17歳だから30前後の男女を「オジサン、オバサン」って言ってるのよ。プンプン

 

私もきっといつかあの子に「オバサン」って言われちゃうわね。

その時はほっぺをつねってやらなきゃ。