本

先ほどいただいた本を開くとパラパラと速読する。

内容は異種族間の恋愛模様でロマンティックな内容だった。

 

本は新品同様で折り目もなかったが、栞が挟まっていた。

 

――綺麗な栞ね

 

純金製の透かし彫りの栞は特注品なのだろう。花や小鳥のモティーフで美しい。

 

本は確かにいただいたけど、栞は遥かに高価なものだった。

 

お返しした方がいいかしら?

とりあえず心に留め置き改めて栞の挟まっているページを読み直してみる。

 

異能を持つ男の正体が露見してしまい、激しく取り乱すヒロインの心情が綴られていた。

 

思わず我がことのように夢中で読みふけってしまう。

 

「・・・気に入ったか?」

 

やがて眼を覚まされたのかライザール様がそう尋ねられた。

 

「・・・ええ、とても。続きが気になりますけど今はここまでにしておきますわ」

 

ライザール様が起きたのならばお相手をしなければ。

 

「すまない・・寝てしまったようだ。重かっただろう?」

 

どうやら本当に寝られていたようだ。やはりお疲れだったのだろう。

だから笑顔で首を振る。

 

「少し。でも大丈夫ですわ。私、こう見えても丈夫なんですよ?」

 

生まれて初めての膝枕体験だったけど悪い気はしなかった。

店主様なら「ご冗談を」ってかわすけど、他でもないライザール様ですもの。

 

できれば今度は私が腕枕して欲しい・・おねがい

さりげなく「彼氏ができたらしてみたいリスト」にチェックを入れたりして・・

 

「そうか・・なかなか寝心地がよかったぞ、久々に癒された気分だ」

 

そっけないと思えばこうして甘えてきたりして、随分年上の方なのに・・

 

でも全然嫌じゃなかった。これはもしかすると母性のなせるわざかもしれない。