「誤解ですわ。誘惑したかったわけでは・・親愛の情を示したかっただけです」
頬を上気させながらそう言ったら、ライザール様は片眉をあげて胡乱な眼差しを向けられた。
「なるほど。確かにあの程度で私を誘惑できるはずはないからな。私をその気にさせたければもっと色香を身に着けることだ」
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そう言って破顔するライザール様に一喜一憂してしまうなんて私ったらかなり重症だわ。
すっかり彼のペースだったけどそれを楽しんでいる自分がいた。
何とか言っても節度は守ってくださるのね・・それがひどく新鮮で嬉しかった。
これまで私が相手をしてきた男達は皆欲望に流される者達ばかりだった。
誘惑したのは私だけど、男達が誘惑に負けるたびに幻滅してきた。
店主様は「シリーンが可愛いからしかたないさ」って慰めてくださるけど、だけど私はやっぱり嫌だったの。
誠実な人がきっとどこかにいるって信じたかった。
そう言う意味ではライザール様も据え膳食うタイプに思えたけど、彼なりにルールがあるのか欲望に流されることはなかった。
それが切なくもあり嬉しくもあったの。
少なくとも私は他の方と欲望を享受してるくせに、何食わぬ顔して「愛してる」なんて言う男はごめんだわ。
愛すればこそ獣の部分を見せたくないのかもしれないけど、裏表があるのも節度を弁えない男もやっぱり嫌。
それに私はライザール様の獣の部分に興味があるもの
・・貴方はどうなの?