「そうだったな。だが私もそなたと同じだ。・・・なあ、そなたの名はなんという?そろそろ本当の名でそなたを呼びたい」
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私の名を呼んでくださるの?本当に?
これが罠かもしれないって疑いはやっぱりあったけど、でも私はライザール様を信じたかったしなによりも彼に私の名を呼んで欲しかった。
だから覚悟を決めることができた。
「私は・・・シリーンと申します。」
やっと自己紹介できた喜びと不安がないまぜになった気持ちだった。
「そうか、シリーン・・・良い名だ。うむ、偽りの名よりよほどいい。
ではシリーン改めてそなたに願おう。どうか私の妻になりこのシャナーサを共に支える王妃になって欲しい。」
ああ、本当に?
まさかこの私を望んでいただけるなんて思ってもみなかった。
ただの密偵が一国の王妃になるなんて・・・
「・・・本気ですか?」
だから思わずそう尋ねたらライザール様は頷かれた。
「ああ・・・無論だ。このライザール、このようなことで嘘はつかん。だからそなたも覚悟を決めるがいい。私を選んでくれシリーン。
後悔はさせない」
王である貴方が私に選んで欲しいと願うの?
なら私の答えは一つだわライザール様。
「私も貴方の妻になりたいです、だからプロポーズをお受けします」
ここまできたら女は度胸って気分だった。だってなにもかも初めてのことですもの。
でも私は優柔不断な女じゃないし、チャンスがそう何度も巡ってくるなんて思わない。
人生は本当に一期一会なのだから。
ライザール様の気持ちを試すために思わせぶりな態度をとったりしたこともあったけど、本当に愛しい方の前でこれ以上焦らす気は起きなかった。
「ありがとう。そなたを生涯大切にすると約束する。・・愛している、シリーン。私を受け入れてくれて嬉しいぞ」
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そう言って屈託なく微笑む貴方の顔は月光に映えて私の心をときめかせた。