それから名残惜しくあったけど私はジェミルと共にヒラ―ル宮を後に古巣のカマルへと向かった。

 

ジェミルは私とライザール様のことがまだ受け止めきれないのかムッとした顔で黙り込んでいたけど根は素直な子だからきっと大丈夫。

 

でも「あんな成金趣味のオッサンどこがいいんだか・・やっぱアレか?あのオッサンスゴそーだもんな」って毒づいてたわね。

 

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カマルに着くとまだ開演前だから踊り子達の姿はなく店には店主様だけだった。

 

そもそも店主様がシャナーサを選ばれたのは豹が手厚く保護されている国だったからだ。この場所ならば同じ事情を抱えた「同族」が集まるのではという期待もあった。

 

全ては私のためだった。

この方には本当に感謝してもし足りないわ。

 

「おや、お帰りシリーン。首尾はどうだい?」

 

相変わらずわかりづらい方だけどどうやら上機嫌のようだった。

 

「あの・・今日はご報告したいことがあって来たんです。ごめんなさい!店主様・・私ライザール様に求婚されてお受けしてしまいました。だから密偵も踊り子ももうできません」

 

店主様は余程驚いたのか半月型の目が見開いていた。

だけど次の瞬間上機嫌で笑い出した。

 

え!?その笑いはどっち!?

 

「へ~良かったじゃないか。実はね、シリーン僕は以前からライザール王が半獣なのではないかと思っていたんだ。もしそうなら君のお婿さんに相応しいのにってさ。」

 

確かに以前からヒラール宮には黒豹が放し飼いにされているという噂は根強くあったけど・・・

 

「そこで僕は噂が真実かどうか忍び込んでみたんだ。僕だって伝手くらいあるからね。そしたら満月の晩に噂の黒豹と出会うことができた。もちろんすぐに逃げられてしまったけど、その後今度は別の伝手を使い廊下で王とすれ違ったんだが、王は僕を見て訝しんでおられた。それでピンと来たんだ。これは間違いないとね。だがだからといって相手は王族だろう?おいそれと近づけるわけもない。そこで思いついたのが神頼みさ」

 

・・・神頼みってなに!?あせるびっくり