「・・・七緒?どうしたんだ・・」

 

心を凍らせて明日からも神子としての役割に徹するなんて・・

 

神子としては兄さんの命を奪った平島殿を八葉の協力を得て打つべきなのかもしれない。

 

だけど今の私にはそれすらできなかった。それに仇を打ったところで兄さんが戻ってくるわけじゃない。

 

それにターラみたいに憎しみに囚われて自分を見失うことも怖かった。

 

「ごめんなさい・・長政さん・・私、貴方の期待にはこたえられない・・これ以上神子を続けることはできません・・」

 

気づいたらそう口走っていた。

 

思えば私は兄さんを失ったことで平島殿が放った言霊に込められた呪にかかっていたのかもしれない。

 

絶望という名の呪に・・

 

「・・では全てを投げ出すと?は!お前を見損なったぞ、七緒。平島を打つ気概もないとはな・・」

 

甘やかすか、叱咤激励するか長政さんなりに考えた末のことだったのだと思うけど、この時の私に彼の気持ちを慮る余力は残されていなかった。

 

長政さんは神子じゃない私も大切だって言ってくれたけど・・

やっぱり神子じゃない私になんか価値はないんだ・・・

 

そうだよね・・・だけど苦しいよ・・長政さん・・

 

欲する安らぎも得られずに心はぎりぎりの状態だった。

 

こんな辛い想いをするくらいならいっそ私という人格(個)を失しなった方がいっそ楽なのかもしれない。

 

ただ怨霊を浄化して人々に分け隔てなく恩恵をもたらすだけの存在に・・

 

だってそれが貴方が私に求めるものなんでしょう?・・・長政さん!

 

あまりにも深く傷ついてしまった心に魔が差しそうになってしまう。