かつて父上を炎の中に置き去り逃げ出したあの時から私は何一つ変わらない無力で傷つきやすく容易い・・・幼子のままだった。
少しは強くなれたと思ったのは思い上がりだったようだ。龍神の身にはこれはほんのささやかな絶望でしかなかったけど人としての私の苦しみは筆舌に尽くしがたいものだった。
―は!まるで七つの童女のようだぞ?神子殿・・
こんな時だというのに私を叱咤する長政さんの顔が浮かんでしまう。
悲しみに暮れるのではなく悲しみを乗り越えるしかないことはわかっていた。
それでもやはり苦しみは尽きない。
――長政さん、貴方もこんな気持ちだった?
海で弟を亡くしたと長政さんが打ち明けてくれた時、その苦悩をわかったつもりだったけど全然わかってなかった。
この世界の人は悲劇に慣れすぎているはずだけど家族の死はたとえようもなく堪えた。