――こんなの嫌だよ・・・兄さん!!

 

だけどどれだけ悔やもうともはや手遅れだった。

 

「三鶴・・最期の頼みだ・・俺の・・代わりに七緒を・・お前の・・妹を・・守って・・くれ」

 

それはまぎれもなく五月兄さんの末期の言葉だった。

 

「ああ・・・任せろ。だから安心して眠れ・・けっして迷い出たりするなよ、五月」

 

怨霊になった兄様を見送ったのは私だった。

五月兄さんを怨霊なんかにするのは嫌だった。

だからせめて兄さんの無念が少しでも軽くなるようにその手を握り締めて祈りを捧げる。

 

「七緒・・・俺の・・愛するたった一人の妹・・最後まで守れなくて・・ごめん」

 

それが兄さんの最期だった。

握り締めた手は温かいのにすでに五月兄さんは絶命していた。

 

――いやだ!兄さん!!・・こんなのってないよ!どうして!?

 

その瞬間龍の玉が兄さんの体から飛び出て後を託された三鶴さんの身体へと入った。

 

新たな八葉に三鶴さんが選ばれたのは天命だったのかもしれない。

 

いえもしかすると・・五月兄さんが過去の世界に飛ばされた可能性だってあったのかもしれない。

 

たまたま運命の悪戯で三鶴さんが私を庇いこちらの世界に絡めとられてしまっただけだった。

 

だけどそんなことより今の私は悲しみに沈んだままだった。

 

ああどうして大切な人ほど失ってしまうのだろう・・

 

確かに人はいずれ死に輪廻の輪に還るのだとしても・・・溢れる涙を止めることなんてできそうになかった。