しかし異変は直後に起きた。
気づけば目の前の空間にゆがみが生じていたのだ。
人には効果をなさないが龍神を閉じ込めることのできる結界に閉じ込められていたのである。
数メートル先に兄さんの後ろ姿があるのに私の声は届かない。
私が見えるのか足を止めた平島殿がこちらへと視線をくれる。
その邪悪な眼差しに戦慄を覚えた。
兄さん!!その人を信じたらダメ!!
空間を叩いても結界の中では音も届かず危険を知らせる術もなかった。
たぶん力を使いすぎたのだろう。
時空転移でこの世界に戻ってきて、強大な悪魔レヴィアタンとも戦ってすぐだった。
けれど異変はそれだけでは済まなかった。
突然数歩先の地面に私が出現したかと思うと、地面に倒れ伏したのだ。
すると気配を感じたのか異変に気付いた兄さんがこちらへ血相を変えて駆け寄って来た。
兄さんだって術が使えるし式だって自在に操れるはずだけど、ここは敵地も同然の場所だった。あらかじめなんらかの大掛かりな術が仕掛けられていたのだろう。
白龍を覆った内側の結界の内部は私の領域だったけど、この城自体は平島殿の領分だったことが明暗をわけてしまった。