だって私は龍神の神子だけどみんなの人生の責任を負えるわけじゃない。
そう思うこと自体が傲慢なのかもしれない・・
そんなことを考える内に気づいたら眠りの中にいた。
夢の中で再会した小さな白龍は必死に龍脈を正して欲しいと訴えた。
龍の時間は人とは比べ物にならないほどゆっくりと過ぎてゆくけれど・・
あの龍にはもはやあの庭池では狭いのだろう・・
龍脈を正し龍神とゆかりの深い琵琶湖の竹生島に連れていけばあの子も大きくなれるかもしれない・・・
この世界を出る前に一度正された龍脈だったけど、現役の龍神である私が世界を離れたことでまた穢れが活性化してしまったのならば責任を感じてしまう。
小さな白龍がいたから辛うじて均衡が保たれていたのだろう。
ごめんね・・白龍・・必ず迎えに行くから待っていてね・・
それから兄さんたちの奮闘の甲斐あって私達は無事瓜生島でカピタンの野望を阻止することができた。
往生際の悪いカピタンは短銃を使い長政さんを撃とうと画策したが、銃が暴発してしまい重症をおってしまった。指に嵌めた悪魔を召喚できるという指輪も吹き飛び瓜生島と共に海底に沈んでしまった。
レヴィアタンも無事封印できたし、カピタンも確保できて沈みゆく瓜生島から無事生還を果たした私達を待ち受けていたのは不穏な噂だった。
情報をもたらしたのはつばきさんだった。
それによると徳川殿の再三にわたる上洛要請を拒絶した上杉家に対し、家康殿が会津攻めを決めたというのだ。
私の元にも秀信からの書簡が密かにもたらされた。書簡には織田宗家が石田方に付く旨が記されてあった。
覚悟はあったけどやはりそうなってしまった。
ならば私も織田の姫として従うしかない。これはもはや運命だった。
いよいよ対立が顕著になってしまい八葉間にも緊張が走ったものの、長政さんは黒田家のお家騒動に惜しみなく力になってくれた八葉のみんなを労うための宴を催してくれた。
ああ・・・これで本当に最後なんだ、そう思えばやはり複雑な気分だった。
これまでは立場を超え協力してきた仲間だけど、明日からは敵対することになると思えば憂鬱だった。
けれど日々精進して豊前豊後の地を練り歩き五行の力は十分だった。
明日になればみんな龍穴を使いそれぞれの場所へと戻るだろう・・
今度またいつ会えるのか、それは誰にもわからなかった。
長政さんには最後くらい笑顔で皆を送り出してやれって言われてしまった。
そうだよね、これまでみんな十分にできるかぎりのことをしてくれたんだもん・・
だから私も最後は笑顔でみんなとお別れができた。
兄さん達と話し合って私は秀信の元に身を寄せることにしたけど、結局白龍のことは兄さんにも言えなかった。
それから秀信には取り急ぎ兄さんが式を打ってくれて、龍穴を使い岐阜に向かうことになった。