――あねさま・・会いに来て・・・この場所であねさまを待って・・・

 

!?

 

「七緒!起きろ・・」

 

肩をゆすられハッと目を覚ますと長政さんが私を抱き上げて覗き込んでいた。

 

――長政さん?

 

見ると私の体が光を放っていた。

具合を心配した長政さんが様子を見に来て発見したらしい・・

 

まずいところを見られてしまったみたい・・

また一つ無意識に異能を発揮してしまって気まずかったけど彼に嘘はつきたくなかったから私は正直に打ち明けることにした。

 

「夢を見たんです・・・小さな白龍の・・・私に会いに来てって・・・私、会いに行かなきゃ・・これは神子の私にしかできないことだから」

 

あの子のいる場所がより私の焦燥を煽っていた。

 

興味をひかれたのか長政さんがずばり問う。

 

「ほう、白龍だと?てっきり天にでもいるかと思えば・・それで?どこなんだ神子殿」

 

そうだよね、兄さんと大和以外の八葉のみんなもそう思ってるけど本当は私自身が龍神の化身だった。

 

それなのに新たな龍がすでにいるなんて・・・もしかすると本能寺の変の折一度この世界を離れたせいかもしれない。

 

 

でも考えてみればこれはチャンスだった。新たな龍神に私は可能性を見出していた。

 

それにたぶんあの子なら私の気持ちをわかってもらえると思う・・

 

他の龍と違い私は人としてこの世に生を受けた。天に還り龍神として生きるのか地に降り人として生を全うするのか・・

 

すべては長政さん次第だった。いくら私が望んでも彼に拒まれてしまったらその先はない・・そう思えば寂しさが募ってしまう・・

 

好きなのに結ばれないなんて・・そんなの辛すぎるよ

 

ほんの少しの隠し事はしてても私は彼に嘘はつかない。

 

「佐和山城・・その庭池に白龍はいます」

 

言った途端長政さんの目が険しくなる。

 

それはそうだろう・・白龍はこの日の本の龍神そのものだった。

それがどのような理由によれ対立している文治派の石田三成が蟄居している佐和山城にいるのだから。

 

確たる証拠があるわけじゃないけど、彼は長政さんを呪詛しようとした人物の一人かもしれないのだ。心穏やかなわけはなかった。

 

「まさか奴が白龍を?・・なんてことだ。これは徳川殿にも報告せねばならないようだ」

 

知ってしまった以上、隠し立てはできないだろうけど、でも幼い白龍が権力者達の争いに巻き込まれないようにするのは私の役目だった。

 

「お願いです長政さん、あの子が自分の身は自分で守れるようになるまで徳川殿にも黙っていてもらえませんか?」

 

たとえ相手が徳川殿であっても欲に駆られないとも言い切れない。

今の白龍であればどのような勢力のものであっても容易に操れるのだから。