しかしどの時代にも不測の事態というものは起こりえた。
神子を失ったことで八葉が解任され新たな神子と八葉が選定されることもあれば、龍神が力を失い恩恵を受けられずに神子も八葉も全滅してしまうことも起こり得る。
中には龍神様と結ばれた神子もいたらしい・・龍が人になったのかあるいは悲恋だったのかはわからないけど・・・鬼や怨霊が八葉に選ばれたこともあるというから不思議ではないのかもしれない。
数ある龍神の伝承の中でも一番興味を引いたのは新たな龍神が選定される場合だった。
万能に思える龍神であっても同じ個体はおらず消滅と再生を繰り返すものらしい。私の中の龍神はいまだ健在ではあるけれど、新たな龍神へと代替わりさせることがもしできるとすれば・・・
新たな龍神に三鶴さんの帰還を頼むことだってできるかもしれない。もともとこちらの世界にいた私があちらに行った引き換えにこちらへと引き込まれてしまったのなら私が帰還した以上三鶴さんだって帰還するのが筋じゃないだろうか。
三鶴さんが八葉ではないのに時空転移できたことは確かだ。
もちろん三成としての立場で歴史に爪痕を残したいと三鶴さんが望むのならば拒むかもしれない。
以前幸村さんから聞いた話で三成さんは秀吉殿への恩義からその忘れ形見の秀頼様と側室の茶々姉さまをなんとしても守るために、もし自分に何かあれば二人を頼むと託したそうだ。
友との約束を命がけで守るだろう幸村さんにかける言葉はみつからなかった。
人としては立派だと思うけど、命を燃やし尽くすような不器用な生き方をする男性と人生を共にしたいとは思えなかったから。