神子としてこちらの世界に舞い戻った私だけど問題は山積みだった。

 

まずは豊前に行きカピタンの野望を阻止しなければならない。

 

それからカピタンと一定の利害の一致があったとされる三成殿のことだって放置はできなかった。

 

長政さんを選んでしまった以上、直接戦に関わらないとはいえ

私の立場はもはや中立とは言えなかった。

 

そんな私が三成殿に会い三鶴さんなのかどうか確かめる術があるのかはわからない。はたしていくら八葉だったとしても兼続さんや幸村さんが力になってくれるかどうか・・それにいざとなったら兼続さんは家老として上杉家の存続を第一に考えるだろう。

 

城代の平島殿とは一応面識もあるけど、あの襲撃事件が起きた夜、怨霊を封印する名目があったとはいえ私は三成さん襲撃に加担した長政さんと行動を共にしてしまった。そんな私に交渉の余地があるのかどうか・・

 

それに気がかりはそれだけではなかった。

 

神子として役割を全うすると言ったけど、この身が龍神の化身であることはとても長政さんには言えそうもなかった。

 

今回は心を失わずに済んだけれどもし次に変化したら今度こそ心を失うかもしれない。

 

そうなったら私は長政さんを忘れてしまい龍神として存在続けなければならなくなるだろう。

 

目撃した兄さんと大和は大ごとだけに内緒にすると約束してくれたし、星の一族の姉妹も神子である私の気持ちを汲み取ってくれるだろう。

 

だけど私が龍神の力を振るえば振るうほどこの身は龍神へと近づいてしまう。

 

いつまで隠しおおせるかはわからなかった。そう思えば焦燥を感じてしまう。

 

長政さんは神子でない私のことも大切だと言ってくれたけど、

でも今の彼が求めているのはやはり神子である私なのだ。

 

昔話の天女も鶴も正体がばれた途端去ったというし、それだけ転変することは本来今生と分かつほどの特異な行為なのだろう。