だって私自身がそうだったから・・

 

こちらに来た当初はなんとなく観光気分だったし

いずれ役目から解放されたら戻れると漠然と考えていた。

 

だけど父上や兄様のことを思い出して龍神の神子としての自覚が芽生えた。

 

そして大切な人ができて、神子としてできることを真剣に考えるうちにいつしか望郷の念は薄れるようになっていた。

 

一度は逃げ出したけれど結局戻ることを選んだ私に三鶴さんの生きざまをとやかく言えないよ。最後まで諦めずにあがきたいって気持ちわかるから。

 

まだ1年にも満たない私がそうならばこちらの世界で数十年も生きた三鶴さんはとうに覚悟を決めててもおかしくない。

 

風に飛ばされた種が地に落ち根付いた花を無理やり引っこ抜けば根を傷つけてしまうし鋏で断ち切れば長くは持たない

 

・・人も同じだ。時間をかけてその環境に馴染んだ三鶴さんを安易に連れ戻すことは難しいだろう。

 

そもそも成功するか失敗するかなんてわからない。

私達が知っているのはあくまでもあちら側で得た史実だけだった。

これは数式とは違う

 

・・運命なんかどう転ぶか本当は誰にもわからない。

みんな命がけなんだ・・・そう思ったら何も言えなかった。