すると叱咤するかに思えた長政さんが苦し気な顔で言った。
「お前の無念の気持ち俺にもよくわかるぞ。俺も弟を海で失ったからな」
長政さんにそんなことがあったなんて・・
「・・・長政殿・・」
共に兄弟を失う辛さがわかる立場だったけど、三成さんは長政さんの敵になる人だった。だけど同時に五月兄さんの兄で、私にとってもお兄さんと呼べる存在だった。
知らなければ良かったと思う一方で知らぬまま失うことにならずにすんだとも思えてならない。そんな簡単に割り切れることじゃなかった。
戦場で相まみえれば戦わざるを得ないだろう。
でも私が龍神の神子である以上、龍脈は正せてもこの世の戦いに干渉することはできなかった。
「・・いずれにせよ、三成殿も己の信念のために命をかけるからにはこちらも相応の扱いをせねばならない。お前はこちらの人間ではないが、三成殿がたとえお前の兄だった男であったとしてももはやこちらの流儀に従わざるを得ない。それを忘れないことだ」
長政さんの言い分もわかる。どれだけ家族として兄さんが願ったとしてもすでに三鶴さんは歴史の重要人物だった。
こちらの世界に来たのが果たして偶然だったのか天命だったのかはわからないけど、この世界で生きていこうと決めた三鶴さんの覚悟を私は否定できなかった。