「お目覚めになられたんですね長政様!神子殿本当にありがとうございました」
感極まった様子の武蔵君に長政さんが身支度の用意を命じる。
すぐに衝立が用意され棺から出た長政さんが衝立の向こうで着替えながら続けた。
「確かに奴が黒幕なのは間違いない・・だが俺は他にもこの件に関わっている者がいるのではないかと踏んでいる・・・そう、たとえば治部殿とかな・・」
治部って三成殿のこと?
そういえば以前大阪で南蛮怨霊が出没した時、手分けして事態の収拾にあたったことがあった。武断派と文治派の派閥争いであの襲撃事件が起きてしまったけどあの夜幸村さん達に同行した大和の話では窮地に追い込まれた三成殿の脱出に手を貸したのはカピタンだったらしい。
うさんくさい南蛮人でもあるカピタンを光成殿がそこまで信頼を寄せるとも思わないけど一応恩人でもあり、面識があるのは事実だった。
すると脇に控えていた宗矩さんが言葉を添える。
「内府様の命で大阪城を内偵していた折聞いた話だが、カピタンは大阪城にて淀殿の前で怨霊を消して見せ信頼を得たそうだ。おかげで淀殿はカピタンにすっかり心酔してしまったらしい。内府様に断りもなく様々な特権を奴に与え、あげくは九州七国を割譲するとまで言ったようだ」
黙って報告を聞いていた長政さんだけど最後の情報は逆鱗に触れてしまったようだ。無理もない。服を整えて出て来た長政さんの顔には怒気が浮かんでいた。
「まったく好き勝手なことを。だがもし淀殿が決めてしまえば理不尽がまかり通るかもしれない。こうしてはいられない、七緒!八葉と共に豊前中津に向かうぞ」
すっかりいつも通りの長政さんだった。白虎が去り結界が消え去ったこともあり止まっていた時空の中にいた長政さんの時も動き出したようだ。
すると控えていたあやめちゃんが応じる。
「わかりました長政様。神子様、あいにくと幸村殿と兼続殿はそれぞれの領国に戻られてしまいましたがどうやら龍穴が使える様子。式をさっそく飛ばしてみましょう。それから姉さまに連絡して急ぎ筒見屋の船を用意させていただきますわ・・」
「ああ・・頼んだぞ」
久しぶりだけど神子として八葉としてみんなが役割を分担して動き出すことができることが嬉しかった。