「え?ルーガン王国の方が見えられた?」
ルーガンは隣国だけあって国交があるため、大使館もありヒラ―ル宮に訪れることもあるようだった。
けれど侍女の慌てようを見ていたらなんとなく腑に落ちてしまう。
聞けばライザール様は会議が紛糾して長引いていてまだお見えになれないとのことで、主だった臣下はもちろん近習も王とご一緒しているため、とりあえず侍女がもてなしながら場を繋ぐことを余儀なくされたそうだ。
でも相手はルーガン王国の方だけに侍女の手には余る事態だった。
ルーガンでは男尊女卑の傾向がいまだあるため、身分の高い方に侍女が声をかけることは許されていなかった。
シャナーサにはシャナーサの流儀があるのに困ったものだわ。
途方にくれた侍女を前に、困惑してしまう。
けれど考えてみればライザール王が不在ならば、婚約者である私が場をなんとか収めなければならないようだ。
実のところ私には奥の手があった。
「いいわ。そういうことなら任せてちょうだい」
動揺したままのシーラを宥めた私は、いったん自分の部屋に戻るとこんなこともあろうかと持ち込んでおいた袋から取り出した腕輪を嵌めた。
これであなどられないはず・・