それぞれの思惑を抱えたまま歴史は進む・・
それは七緒の世界も同じだった。
私の誕生日も過ぎ、気づいたら季節は秋になっていた。
あちらの世界から戻ってはや2か月経つなんて・・まるで夢を見ていたような気分だった。
無為に過ぎ去ったこの2か月を振り返ると複雑な気分だった。
初めの頃こそお別れが辛くて落ち込んでいた私だけど、いつまでもくよくよしてたってしかたないし気持ちを切り替えないとって自分に何度も言い聞かせた。
夏休みは部活が唯一の発散場所となった。
怨霊相手に実戦で鍛えたおかげで各段に腕が上がっていて顧問のコーチに驚かれちゃった。
だけどなぜか失恋したって噂がまことしやかに流れていたみたい。
相手は先輩だとか隣町の子だとか、大和も相手候補に名を連ねたみたいで驚いたけど結局真相なんかわかるはずないよね。
別世界とはいえ教科書に載るような黒田長政に失恋したせいだなんて言ってもきっと誰も信じないだろう。
でも傍で私達を見ていた五月兄さんと大和はそっとしておいてくれた。
大和だって実家を出て自活してるのに・・私だって頑張らなきゃ
これ以上五月兄さんや大和にも心配かけられないし・・
浪人生の兄さんは取り返す分必死に勉強していたけど、誕生日だけは忘れずに大和と二人で祝ってくれた。
もちろんお父さんとお母さんも一緒に。
仕事から帰宅した二人には、感謝とともにあの世界の体験談を打ち明けたら驚かれちゃった。
でも二人とも星の一族の末裔だけあってやがてくる神子のお役目とかそれが終わった後も織田なお姫として生きるだろう私との別れを覚悟していたんだそうだ。
もしあの世界に残れば二人の心配は的中していただろう。
だけどあちらの世界に未練を残しながらも残るだけの覚悟がなくて出戻ってしまった。