あれから図書館で借りた「竹取物語」を読みかえしてみた。
初めて読んだ時は付き合う気もないのに相手を試すためだけにわがままを言う魔性の女に思えたかぐや姫だったけど、
一人だけ本気で恋した男性が亡くなったことで彼女は恋心を失うと同時に重力もまた失い、心の寄る辺を失ったかぐや姫は、地に足がつけていられずにどんどん浮き上がり月に帰らざるを得なくなってしまったのではないか、と思えた。
「待つ甲斐がないと」末期の歌を交わした中納言の姿がなんだか甲斐守である長政さんの姿と重なってしまう。
――まるであの時の私みたいだ・・・
私は彼女ではないからありもしない宝を持ち寄らせて男の真心を試したかぐや姫の本心がどこにあったのかはわからない。
でも・・・
――私は貴方に引きとめて欲しかったよ、長政さん
だけどただでさえ黒田家を背負っている長政さんに私まで背負えなんてとても言えなかった。
実は元の世界に戻る前に秀信には離縁することを許してもらった。
もともと私と死別したと認識していた秀信は受け入れてくれた。
だから私はもう織田家の姫ではないしもう私に戻る場所はあの世界にはない。
もし私の中に本当に龍神様がいるのなら・・
私の長政さんへの想いがもっと強ければ、離れ難く感じてあの
時空の穴は出現しなかったのかもしれない。
長政さんに惹かれながらも望郷の念を捨てきれず迷う時間すらなくて、ずるい私は長政さんに判断を委ねてしまった。
そして長政さんは私に手を差し伸べてくれなかった。