「こちらでございますわ・・神子様。長政殿の周囲には結界を張ってございますし、白虎が守ってくださっていますから怨霊の気配はありませんからご安心ください」

 

そう言ってあやめちゃんが開けた襖の向こうに安置されたガラスの棺の中に長政さんは眠っていた。

 

夢で見た通りだった。

 

本当にシンデレラみたい・・・今にも目を覚ましそう・・

 

静かに眠る彼の顔に苦難はなかったけど、苦しんだ長政さんの気持ちを思うと傍を離れたことを今更ながら後悔してしまう。

 

――神子・・・さあ急ぐがいい・・長政にそなたの息吹を注ぎ込むのだ

 

私を促したのはぬいぐるみの三毛猫姿の白虎だった。

 

すでに夢で逢っていたから驚かなかったけど、背後で大和が

「うわ‥リアルニャンコ先生じゃん・・」とか口走ってた。

 

みんなの視線を感じながらキスするのはさすがに気まずかったから一人室内に立ち入ると武蔵君が背後で襖をそっと閉めてくれた。

 

棺の傍まで行くと、白い紙でできた造花の菊の花びらが一枚消え去った。

 

棺の中で眠る長政さんの顔は穏やかで本当に眠っているだけのようだった。

 

だけどその体は呪詛が蝕み彼の命を脅かしていた。

 

黒龍の加護でどうにか穢れの進行を抑えているのだろう。

こんな時だというのに久々に会えたことが嬉しくて涙が溢れてしまう。

 

「ただいま、長政さん・・・私戻って来たよ・・だから貴方も目を覚まして」

 

囁きかけながら頬に手を触れると温もりが指先から伝わって来た。