「おはようございます、長政さん。・・・ただいま」
彼の反応を窺いながらそう言ったら、やっと事態が飲み込めたのかめずらしく長政さんの顔に朱が走り動揺を見せた。
「まさかまたお前に会えるとはな・・何故戻った、と言いたいところだがやめておこう。あの時お前を送り出したことに後悔はない。
それが互いの為に最良だと思った。だが結局俺は呪詛におかされてしまい、お前の手を煩わせることになってしまったようだ。
すまない、七緒。俺のせいでお前はまたこの場所へ・・・」
長政さんの顔は複雑そうな面持ちだった。
「もう一度貴方に会いたかった。だから後悔はしません。だからいいんです」
八葉を守るという大義名分はあったけど、やっぱり私自身の願いでもあった。
私は棺の中に敷き詰められた造花の清めの菊花を手に取ると長政さんに語り掛けた。
清浄な花を手にこめると気分がぐっとよくなった。
時空転移して穢れを祓ったことで失われた霊力がほんの少しだけ回復したようだった。また地道に怨霊を祓い五行の力を溜めれば霊力を取り戻せるだろう。
菊花の契りの義兄は義弟との再会の約束を守るために命を賭してしまったけど、どうしても再会したかったっていう気持ちは私にもわかる。
龍神になって遥かな時空を超える間私の心を占めたのは長政さんへの愛だけだった。
私は女だからたとえ期日に間に合わなくてもやっぱり生きて再会したいよ。
でなきゃ再会できたとしても二人ともきっと幸せにはなれないもの。
だけど戻ってしまったからにはしがらみも戻り役目を果たさなくてはならない。