「長政さん、私は龍神の神子としての務めを全うすると約束します。だから長政さんもどうかこれからも八葉として私に力を貸してください」

 

キスを交わしたことで私達の間には特別な絆ができてしまった。

だけどそれでも私達は神子と八葉だった。けじめはつけないと・・

 

なのに長政さんは嘆息すると言った。

 

「俺に惚れているくせにやせ我慢するな七緒」

 

!?

 

そうだった。こっちの世界の人はそう考えるんだった。

すごい自信家だよね。

 

「それはお互い様だと思いますけど?」

 

長政さんだって恋煩いで呪詛にかかったくせに。

 

「ほう。言うようになったな、だがいいだろう。気の強い女は嫌いじゃない。お前は確かにまだ幼いが俺の仕える主人でもあるからな。お前が相応しい神子である限り八葉としての役割をまっとうするのは俺だって同じだ。だが忘れるな七緒、お前がたとえ神子でなくなったとしても俺にとっては大切な女だということを」

 

―――長政さん!私のこと大切な女だって言ったの?

 

思わず頬が緩んでしまう。単純かもしれないけど好きな相手に大切だって言われたらやっぱり嬉しいよ。

 

好きな恋愛漫画の影響でなんとなく告白してからキスって流れが漠然とあったけど、そんな風に理路整然と恋愛できるわけじゃない。

 

長政さんはちゃんと気持ちを打ち明けてくれたし、それだけで十分だった。

 

「だけどやっぱり神子と八葉だから人目は気になりますよね」

 

そう言ったら長政さんは有名な和歌を詠んだ。

 

「住江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ・・と言った心地か?だがしかたあるまい。我々には務めがあるからな」

 

神子である私はもちろん、長政さんだって徳川殿との関係や一族郎党の皆さんとの関係だってあった。

 

だからあくまでもこの気持ちは秘めなければならないのかもしれないけど・・・できるだろうか?私に・・そんな大人の恋なんて・・

 

だけどだからこそより大切に育めるかもしれない。

 

――私を大切だと言ってくれた長政さんを信じよう