愛した女性との子が欲しいと望み、結婚した相手は王妃になると断言されたライザール様の言葉に改めて、彼の考えを伺い知ることができた一方でふと疑問が生じてしまう。

 

「ではなぜ・・貴方はレイラ様と婚約されたのですか?」

 

彼女はもう出奔してしまったとはいえ、元々王が結婚を望まれた相手がレイラ様であることに変わりはなかった。彼に特別な想いを抱いてなければ割り切れたかもしれない。けれど今更ながら気にかかるのは私の気持ちが変化したからだ。

 

レイラ様がアリ家の令嬢で身分が釣り合うからだとしても、なんだかもやもやしてしまうのはそこに愛ではなく野心の香りがするからだった。

 

するとライザール様はとたんに苦虫を嚙み潰したような面持ちになり顔を背けられた。

 

「・・・頭のいいお前のことだからもう察しがついているのではないか?」

 

余程語りたくないのかライザール様はそう言い置くと気まずげな顔をされた。

 

王が匂わせていることはもちろん察しがついていたが、それを指摘するのは憚られてならなかった。

 

けれどライザール様のお気持ちを汲みながらも確かめられずにはおれなかった。

 

「・・・野心からの政略結婚を望まれたのですね」

 

愛を追い求めて、愛する女性と血を分けた子を欲したライザール様の願望とはかけ離れていたが彼は王として決断せざるを得なかったのだろう。

 

彼の苦悩は語らずとも推して知るべしだった。