やがて侍女が迎えに来て砂時計をサイドテーブルに戻すと部屋を後にした私は、大浴場へと向かった。
今日もライザール様のお姿はなかったが、肌も露わなライザール様に迫られたら理性が揺らいでしまいそうだからむしろホッとする。
湯に浸かりながら深夜の逢瀬のことに想いを馳せる・・
今夜はなんのお話をしようかしら・・?
昨夜は子供を持つことについて互いの考えを打ち明け合ったわね・・
結婚の話より先に子供の話が出たのは、たぶんそれがライザール様が結婚相手に求める最優先の条件だからでしょうね。
血を分けた子を持つことが望みだとライザール様はおっしゃったわ・・
愛する女性って・・・・あれって私のことですか?
もしそうなら嬉しい反面戸惑いもあった。
ありのままの私を受け入れて下さったのは嬉しかったけれど、もし仮にライザール様と歩む人生を望むのならば踊り子も密偵も続けられないもの・・
美しさと若さもいずれは時が奪い去ってしまうものだけど・・
それはライザール様と結ばれても同じだった。それでも・・・
ライザール様のお傍にいたい・・・愛するあの方の傍に・・
子を持ち家族になれたらどんなに幸せだろう・・
侍女に促されて湯から上がると、今夜の香油を選ぶ。今夜の気分はヴァーベナかしら。
「今夜はこれでお願い」
爽やかな柑橘の香りに癒される。お肌のお手入れを念入りに施してもらいながら、今夜の密会の話題について考える。
順番が逆になってしまったけれど、そうね・・そろそろもっと踏み込んだ話題にしてみましょう。
旧ハレムの内見をした後だけに気がかりなのはやはりライザール様の結婚観かしら?
とりあえず聞きたいことを決めた後、身支度をしてライザール様と晩餐をご一緒にするために広間へと向かった。