「私の質問に応えれば一つ返してやろう。そなたは正直に身分を明かした。まずはひとつとるがいい。」
守り刀は武器であるから攻撃はもちろん自決だってできる、これ以上の緊張感を孕むのは避けた方が賢明かもしれない。それにあの守り刀は瘴気を払いすでに効力を失っていた。身の証立てにしかならないものだった。父上の形見でもあるけれどね。
だから私は迷わずに鏡の縁結びのお守りを手に取った。
だって私が白龍の化身なのだとしたらおそらくあれがなくても自力で時を駆けることができるもの・・
五月兄さんにはこれ以上白龍の力を使わない方がいいって言われちゃったけど・・
それよりも今の私にとってなによりも大切なのは長政さんの安否だった。
松寿丸君・・無事に半兵衛さんに合流できたかな。
――どうか無事で・・長政さん!!
「ふむ、守り刀でもなく白龍の逆鱗でもなくそんな他愛もない護符を取るか。面白い。そなたにとって余程大事な品と見える・・理由をぜひ聞きたいものだ」
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かつて父上は実妹お市の方の嫁ぎ先だった浅井家を滅ぼしたという。その城こそ人質となった長政さんが預けられていた秀吉殿の居城長浜城だった。
お市の方にお会いしたことはないし、実の兄が夫にむごい仕打ちをするのをどんな気持ちで見ていたのかなんて私にはわからないけれど、父上は相手が身内であっても厳しい方だった。
だからこそ隠し立てはしない方が身のためだった。