「松寿丸君!無事を祈ってるから!!・・未来で待ってるから生きて!!」
近づいてくる気配がしたけれど俊足を誇る白麒麟を捉えるのは容易ではないだろう。
「それじゃ白麒麟!松寿丸君のことはよろしくね!」
ポポ・・ポーン
「神子!ありがとう!!そなたの献身は忘れぬぞ!!どうかそなたも無事で!」
一声鳴くと神獣はあっという間に夜陰を駆け去り光の帯が名残として残りそれもやがて消えていった。
気配を読めるものならば追跡は可能だろうが、龍穴に入れるのは神子と八葉だけだった。
八葉に選ばれる前の長政さんが通れたならば松寿丸君も通れるだろう。
彼が無事竹中半兵衛の元へと導かれることは確信があったわけじゃないけど、私は絆の力を信じていた。
だけど私の戦いはここからだった。
やがて闇から怨霊を使役していたと思われる人物と侍たちが姿を現した。
「どこの家中のものか!!竹中の手の者なら容赦はせぬぞ!!」
やはり父上が彼の命を狙ったんだ。だけど奪わせるわけにはいかなかった。
懐から守り刀を抜き出した私は刃を鞘に納めたまま彼らの目の前に差し出しながら言った。
「私は織田家ゆかりの者。こちらの守り刀がその証です。どうか織田信長公にお目通り願います!!」
口上を述べる私を警戒していた彼らの間に動揺が走る。
「御屋形様のゆかりの女人とは・・だがあれは確かに織田家の家紋に相違ない」
けれど刀を収めかけた武士を差し置き怨霊使いが私に怨霊を差し向けて来た。
もう白麒麟の加護は望めない以上、自力で戦うしかなかった。