ああ・・・そうなんだって腑に落ちてしまう。

 

たぶん私はカピタンさんのことがある前から長政さんを想っていた。

 

だけど障害が多すぎてどこか気持ちをセーブしてしまったのかもしれない。

 

随分年上の人だったし、厳しい彼は私に会うたびに七つの童女扱いだったから。

 

牽制された気がしてどこか遠慮していた。

 

だけど出会った当初みたいに割り切ることはできなかったし八葉と神子でいられる時間は残り僅かだった。

 

任を解かれてしまえば、私には元の世界に戻るかこのままこの世界で織田なおとして生きていく道しかなくなってしまう。私は秀信のいる岐阜城に、長政さんは城主である豊前に帰ってしまうだろう。

 

もし来年起きるという関ケ原の戦いが起きてしまえば私だってどうなるかわからない。圧倒的な歴史の渦の前では八葉の絆があったとしても立ち向かえるのかどうか信じることしかできない。

 

この世界に深く干渉すべきではないと五月兄さんが言ったのは歴史に詳しいからだけじゃなくて星の一族としての予感があったのかもしれない。

 

もし仮に私がこの世界を選ぶのなら、定まっていない運命を長政さんと共に生きたいと願うのなら私も覚悟を決めなければならない。

 

長政さんは言ってくれなかったけど、彼の鼓動は強く高鳴って私の鼓動とシンクロしているかのようだった。

 

恋なんか無縁だって言ってたくせに・・

 

だけど満天の星空の下で激情にかられてキス・・なんて少女漫画みたいじゃない。

 

私とのキスは恋じゃないって言えますか?長政さん