「そうそう大変だったんだぜ。この年で虫取りなんてハズいけど他でもないお前の為だからさ、各自ノルマ2匹ずつで虫取り合戦したんだ」

 

武蔵君につられて大和も童心にかえって楽しんだのかな?

 

「俺は3匹捕まえました!神子!」

 

ここぞとばかりに武蔵君がアピールする。なんか似合う!

 

「俺たちも神社の境内で一緒に虫取りしたこともあったよな。懐かしいよ。カブトムシとかクワガタとか捕まえたの覚えてるだろう?七緒」

 

和んだ様子で思い出を語る五月兄さんに頷く。そんなこともあったっけ、なんだか懐かしいな。

 

もし元の世界に戻れなかったとしてもあの世界は確かにあったんだってふとそんな感傷にかられてしまいそうになる。

 

どうしたんだろう・・私。

 

「・・・七緒?どうした?」

 

いけない、優しい五月兄さんに心配かけたくなかったから笑顔を返した。

 

そしたらなにかを察したのか阿国さんが言った。

 

「私はあんたの笑顔が見れて本望さ」

 

「阿国さんも手伝ってくれたんですね。虫、大丈夫でした?」

 

美女の阿国さんの手まで借りたなんて驚いたけれど、阿国さんは満更でもないように微笑んだだけだった。