「なんだ急に・・里心がついたのか神子殿。神子殿の世界では誕生日とやらに何をする?」

 

いつになく関心を寄せてくれる長政さんに問われるまま応える。

 

「ケーキに年の数だけロウソクを灯してバースデーソングを歌って祝うんです。プレゼントをもらったりして・・」

 

「ほう、なるほど・・それは興味深い。悪くない風習だな」

 

ここじゃ無理だよね。そう思ってたのに・・・

 

昼間の蝉時雨もすごかったけど、夕刻に鳴くひぐらしに耳を傾けながらゆっくりと休憩を取らせてもらったらだいぶよくなったみたいだ。

 

あやめちゃんが言い含めたのか一度長政さんが様子を見に来てくれたけど他のみんなはどうしているのかな?

 

気になってしまい夜になりさすがに起きて皆のところに顔を出したらサプライズが待っていた。

 

「神子殿お誕生日おめでとう!」

 

びっくりして長政さんを見たら鷹揚な笑みが返ってきた。

長政さんはもちろんだけど五月兄さんや大和、そして祝ってくれる皆の顔を見たら自然と笑顔になっていた。

 

後になって大和に聞いた話では、向こうの世界じゃ私の誕生日はずっとさきだったけどこちらの世界に来て以降、私の誕生日が近いことを知った五月兄さんと大和はそれぞれ私へのプレゼントを用意してくれてたんだって。

 

だけど私から誕生日の話を聞いた長政さんが皆に話して今回の計画を立ててくれたらしい。

 

黒田邸で論功行賞をする長政さんの姿がふと浮かんだ。

公平な目で相手を評価することができる長政さんにお誕生日を祝ってもらえるなんてなんだかとても贅沢な気分だった。

 

それに突然のことだったのにできる限りのことはしてくれたみんなの気持ちも嬉しかった。

 

「みんな祝ってくれてありがとう・・本当にありがとう」

 

こんな幸せな誕生日を迎えることができたなんて・・感動ものだった。

 

美味しい心づくしのお料理やプレゼントも用意してくれたりして・・

 

そして最後にさらなる感動が待っていた。