「誰だ」

 

人の気配はなかったと思ったのに、先客がいたことに驚く。

しかもすごく聞き覚えのある声で動揺してしまう。

 

嫌な予感は的中したみたい。

湯けむりの向こうに姿を現したのは見覚えのあるシルエットだった。

 

え?長政さん!?なんで!?

 

男湯と女湯に分かれていると思ったのに中で繋がっているなんて・・

 

まさか混浴だなんて思わなかった。

 

こんな事態は想定してないからバスタオルも巻いてない・・どうすればいいのか固まってしまう。

 

「なんだ・・神子殿か。猿かと思ったぞ・・ははは・・これは失礼」

 

長政さんは愉快そうにそう言って笑う。

 

あ、笑った顔初めて見ちゃった・・

 

いつも不機嫌そうだったり、口の端をゆがめた不敵な笑みの印象が強い人だけになんだかとても新鮮だった。

 

混浴なのに長政さんは気にした様子もないのに私は羞恥のあまり消え入りたくなってしまった。

 

お互いに裸で湯に浸かっていたら、二人きりなことをより意識してしまう。

 

裸の付き合いだなんて私には早いよ