みんなにこれ以上心配かけたくなかったのに・・・
恋の病とは恐ろしい・・意識しちゃダメって思えば思うほど長政さんのことが気になってしかたなかった。
阿国さんはみんなに内緒にしてくれるって約束してくれたけど、人の口に戸は立てられないって本当だったんだ。ううん、むしろみんなが聞き出すのが上手いだけなのかもしれないけどSNSのない世界なのに私の不調はあっという間に八葉の皆の知るところになってしまった。どう聞いたかがすごく気になるけど確認するのも怖くてみんなの顔色を窺いながら困惑することしかできなかった。
阿国さんルートで事情を知ったらしい兼続さんも意味深な眼差しで長政さんを牽制してた。
「神子殿を揶揄うなんて甲斐守殿らしくもない。まがりなりにも俺たちは八葉なんだ神子殿に無礼なふるまいをするのはいただけないぜ?」
ちくりと嫌味を吐く兼続さんの言葉に不敵な顔で「ふん」と鼻を鳴らす長政さんを援護する者はいなかった。
だけど長政さんが責められるのはやっぱり見たくないよ。
みんなこそどうしちゃったんだろう?
だってこれは私と長政さんの問題なんだよね?
確かに心配かけちゃったのは良くなかったけど、こんな風にみんながもめる原因になるのはやっぱり嫌だった。
これも全部私が未熟な神子なせいだ。
たぶん長政さんはカピタンさんとのことを諦めさせたくてあんなことしたんだと思う。
だけど舞い上がっちゃって勘違いしちゃった。