こうして不埒な想いを抱えたまま4日目を迎えた。

 

朝食の席に赴くと、いつも通りのライザール様が迎えてくれた。

 

「よく眠れなかったようだ。大丈夫か?」

 

あんなはしたない夢を見たせいとはいえないわね。

 

「ええ、大丈夫」

 

ばつが悪かったけどなんとか笑顔できり抜けた私は、気を取り直すと今日の予定を確認しておくことにした。

 

「本日ですが昨日ご相談した通り、王宮の散策をさせていただきますね」

 

王の許しがあればこそできることだった。

 

「ああ、そうだったな。良識のある範囲で好きに見て回ると言い。私からも言っておく」

 

王はあえて立ち入り禁止ゾーンを設けなかったけれど、良識の範囲と釘をさされたから当然あるでしょうね。

 

だから私も王の信頼を裏切らぬように約束する。

 

「お許しいただきありがとうございます、ライザール様。あとで気になったことをご報告させていただきますわ」

 

会議に赴かれる王と別れた私は脳内マップを呼び起こした。

 

まだ未踏の地はあったが、大体の場所はわかるからとりあえず歩みだす。

 

王宮の最奥にその場所はあった。

 

――ここだわ、私が探し求めていた場所

 

私が足をのばしたのは今は閉鎖されている旧ハレムだった。

どれだけ栄華を誇った王でさえ老衰には勝てず、一時寵愛を得ても残された者達の末路は悲惨なものだったというかつては愛憎渦巻く場所だった。

 

だが今はすっかり寂れ忘れ去られた場所だった。

だからといって放置するのももったいないでしょう?

 

王宮の一画を改築された王ならばわかってくださるのではないかしら。

 

長年放置されたハレムの内部はひび割れなどの劣化もあるから改装は必須だったけれど、王に進言してみるつもりだった。

 

子らは国の宝、そうおっしゃってくださった貴方ならばわかってくださるはず。

 

もちろん私は婚約者ではないからなんの権限もないけれど、トイの言葉にも耳を傾けたあの方ならば話す価値はあるわ。

 

私自身密偵として当たり前のように知識や教養を身に着けたけれど、それが自分にとっての財産だということにいち早く実感できたのは、置かれた環境によるところが大きかった。