「殊勝なことを。これに懲りたらこれからは見る目を養うがいい。お前が成長せねば同じ失敗を繰り返すだけだ。だがこと色恋だけは俺ですら手に負えん」

 

――長政さん

 

恋愛漫画を渡した時苦虫を嚙み潰したような顔をした彼の顔を思い出してしまう。

 

きっと今も同じ表情をしている気がする。

目が見えなくても声の調子でわかってしまうくらいには長政さんに馴染んでいた。

 

「失敗から学ぶしかないんですね」

 

淡い片思いは自覚する前に失恋してしまったけど、これから先新たな出会いに期待するしかない・・

 

さしずめ今気になるのは目の前で私を覗き込んでるはずの長政さんのこと。

 

彼の匂いや体温を感じてさっきからどきどきしっぱなしだった。

 

「ああ・・・前途多難だな、神子殿」

 

苦笑交じりにそういう長政さんの顔はどんなだろうか?

 

――見てみたい!

 

むくむくともたげた好奇心にかられて天岩戸を開いた天照大神のようにほんの少し瞼を開く。

 

すると闇一色だった私の世界に少しだけ希望の光が差した。

 

部屋の照明は抑えられていたけれど、周囲の明るさが目に沁みる。