告白もしないうちに失恋してしまったような気分だった。
確かに鬼で敵だけどターラは美人で大人の女の人だった。
カピタンさんが好きになるのは無理もない。
お似合いだって思った。
だって私と全然違うもの・・自分の子供っぽさが嫌になってしまう
そして二人はキスを交わした。まるで恋人同士のように・・・
――嫌!
そう思うのに目を背けることもできなくて・・・
でも代わりに私の様子がおかしいことに気づいた阿国さんが袖で目を覆って隠してくれた。
「あらあら・・この娘ったら、まだあんたには早かったかい?」
気遣ってくれる阿国さんの優しさが身に沁みながら、私は首を振る。
私バカだ・・・わかってたはずなのに・・・
動揺してしまった私は小枝を踏んでしまい、パキッと小枝が折れる音がした。
「誰です!?・・・プリンセーザ?ああ・・・やれやれそんなところで覗き見なんて悪い子ですね~」
さっきまでターラとキスしていたのに何事もなかったかのように笑顔を向けるカピタンさんの気持ちがわからない。
でも考えてみれば知り合いにキスシーンを見られたら多少の気まずさはあっても、恋人同士なら遠慮する必要なんかないってことなのかも。
むしろこちらの方が分が悪い。気まずさを感じてるのは私だけ?