これは周知された関係ではないのだと改めて実感してしまう。

あるのはあくまでも互いの会いたいという気持ちだけで成り立っているものだ。

 

でもそれでも構わないわ・・だってそれだけの格差が私達の間には存在するのだから。

 

王が私との逢瀬を望む限りはこの関係は続くだろう。

つまり主導権はあちらにあるということ・・・

 

でもだからといってライザール様が私の気持ちを無視されたことはない。

 

それに考えてみれば私は婚約者だからという義務で王と会っているわけじゃない。そのことは王もご存じのはず。

 

確かに隔たった立場であったとしても、今夜会う約束はすでに交わしたわけだし、そのドアを開ければそこに王がお待ちくださっているのだとしたらやはり幸せだった。

 

期日はもとより1週間、その間に私たちの関係が変化するかのかこれからの行動次第で変わる可能性があるのか、それとも立場を弁えて幻想を捨て去るかそのどちらかしかないだろう。

 

それに私自身いかにライザール様に惹かれていようとも、踊り子であり密偵であるという現状があった。

 

王は踊り子としての私を御存じのようだったけれど、密偵をしていなければこうしてご依頼をいただくこともなかったでしょうね。

 

わかっているわ・・そんなこと・・でも!

 

芽生えた気持ちを秘めなければならないのはやはり辛かった。

でも辛いのはそれだけ私の気持ちが真剣身を帯びてきたからということ。

 

ご一緒する時間が長くなるにつれより気持ちは深まってしまった。

 

傍にいればより惑ってしまうから本当は少し距離を置いた方がいいのかもしれないけれど・・離れたからといって簡単に忘れられそうにない。