「では私は会議に戻るから、お前は休憩するといい。今日は楽しかった、ありがとうシリーン・・・また夜にな」

 

深夜の密会を匂わせるライザール様に微笑み返す。

 

部屋に戻りベールを外し部屋着に着替えたあと寝台に横になり、先ほどの出来事を思い返した。

 

――楽しかったわ・・

 

もともと活動的なので王宮にこもってばかりなのは物足りなさがあったが、久々に馬にもボートにも乗れたし適度な運動になった。

 

それからバザールの片隅で寄り添って暮らすトイとアスラの兄妹について考える。

 

貧しくても彼らが笑みを忘れていなかったことが嬉しかった。

ライザール様のような信頼できる大人と巡り合えたことも幸運だったのだろう。

 

あの子たちもかつては盗んだもので糧を得ていたこともあったが、ライザール様に諭されて彼と取引することで糧を得るようになったようだ。

 

泥の中でも美しい花を咲かせる蓮の花をふと思い浮かべる。

燐帝国で見た光景だった。

 

泥の中で繋がっていて一蓮托生だという。正しく導く大人がいればあの子たちも輝きを失わずにすむだろう。あのコミュニティを守るのは大人の務めだった。

 

王妃様ならば王と協力して様々な慈善事業ができるでしょうね。

ライザール様の構想は立派だったが協力者の存在が不可欠だった。

 

そんなことを考える内いつしか私は眠りに誘われた。