異世界だし~参勤交代とか「証人制度」とか嫌だも~んショボーン

 

関ヶ原の決戦にて戦功をあげた長政さんの願いを受け、天下人となった家康殿は「織田なお」こと私、天野七緒を快く養女にしてくれた。

 

大名である長政さんに相応しい女性になるための厳しい花嫁修業の甲斐あって、義父である家康殿に別れを告げ晴れて私が長政さんに嫁ぐ日がやって来た。

 

それは黒田家の象徴でもある藤の花が咲き乱れる初夏のことだった。

 

慣例にならい新郎である長政さんの城に到着後、あてがわれた部屋で一晩を過ごした翌日粛々と結婚の儀が執り行われることとなった。

 

黒田家当主の祝儀だけに一門の者が一堂に会したが、私の方はというとここは異世界だから元居た世界の両親や五月兄さんはいないけど、見届け役として家康殿の粋な計らいで宗矩さんが同行してくれた。

 

秀信をはじめ、兼続さんや幸村さん、阿国さんからも祝いの品と文が贈られてきた。

 

こちらの世界に残った大和と長政さんの近習だった武蔵君は相変わらず修行の旅に出たままだったけど、どこからか風の噂で聞きつけたのか私の結婚を祝う文を寄越してくれた。

 

そうそう、最初こそ手間取ったけれど今ではこちらの文字も読み書きできるようになったんだ。我ながら頑張ったって思う。

 

黒田家の家中の人達とはカピタン・モロの野望をくじくために協力したこともあって皆私を織田信長の娘なお、ではなく日の本を救った龍神の神子として親しんでくれていたようだった。

 

この世界に来たばかりのころはこちらの常識も知らず途方にくれていた私だけどあれから2年の歳月が流れたこともあってすっかり馴染んでしまえたみたい。

 

今となっては元居た世界の存在自体が夢だったのではないかとさえ思えてならなかった。

 

もしかぐや姫が月に戻らなかったらきっと私みたいに恋を満喫できたかもね。