それにしてもこんな年端も行かない子供たちが機動力を駆使して密偵顔負けのことをしているなんて・・・そう思って感心していたら女の子が抱き着いてきた。

 

「子供の特権だな。さてどうする?」

 

腕を組み楽し気に見守るライザール様に微笑み返す。

 

少女は私の衣装が気になるのかその目は好奇心に輝いていた。

 

「こ、こら!アスラ!ダメじゃないか。この方は未来の王妃様だぞ」

 

妹の振る舞いにすっかり恐縮した様子のトイに私は言った。

 

「いいのよ、どうしたの?」

 

覗き込むと少女は恥ずかしそうにうつむいた。

 

「ごめん、母さんを思い出したんだよ・・こいつまだガキだから」

 

まあ!

 

少年の言葉に母性が刺激されたのか、私も少女をきゅっと抱きしめ返す。

 

しばらくそうしていたらやがて満足したのか少女はそっと身を離した。

 

「ありがとう、お姉ちゃん」

 

礼を言う少女の頭を優しく撫でながら胸がつまる思いがした。

 

考えてみれば私だって母の記憶も父の記憶もないんだわ・・それが私の当たり前だったけど、やはりこうして同じような境遇の子らがまだこの国にいるのだと思うと変えなきゃいけないってそう思う。

 

ライザール様がいてくださってよかった、この方からきっと・・・