「なるほど・・・聡明だからこそ周囲の現実を知り葛藤されていたのか・・苦労がしのばれる。それにしても理想の女人を追うあたりは私も共感できる気がするな」
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ライザール様の理想の女性
「それはどのような?」
思わず尋ねていた。
前のめりになってしまった私の瞳は好奇心で輝いていたことだろう。
ライザール様は一瞬こちらを見つめた後、ふいに目をそらして語った。
「・・まさに夢の女だ。ずっと変わらぬ姿でいて欲しいと思ったが、今は少し違う。ありのままでいながら輝ける・・そんな彼女を好ましいと思う」
ライザール様の言葉に自然とルトを思い浮かべてしまう。
人はより良く変わることができるし、より魅力的になることもできる。
別れた歳月は取り戻せなくても、その時間が素敵な変化をもたらすことだってあるでしょう?
「ええ・・わかりますわ。そのお気持ち」
「そうか」とライザール様は微笑まれる。
ああ、その笑顔・・・懐かしい気がしてしまう
もしルトが成長してライザール様のような方になったのならそれはとても素敵なことに思えたから。
だけどもしそうならばあのドアと同じ・・近くて遠い存在だわ
「それは現実に存在する方なのでしょう?」
皇驪様にとって私は物語の中から飛び出した白娘子が具現化したかのような存在だったけど、ライザール様の想い人は存在している方なのではないかと感じた。
「ああ・・砂漠の蜃気楼のような娘だ。存在するが簡単に捕まえることなどできない」
砂漠の蜃気楼のような女性だなんて・・ますます親近感を覚えるわね。
――まさか・・まさか貴方は・・・
一瞬頭に浮かんだ問いかけを口にすることはできなかった。
問えば私達の関係が全て変わってしまいそうで怖かったから。